2020年からBIMを始めるために知っておきたい主要ソフト比較。

BIM関連情報

皆さんは「2025の崖」というキーワードを耳にしたことがあるでしょうか。 DX、すなわちデジタルトランスフォーメーションを進めていない企業や業態は2025年以降に大きく減速するという見方が広がっています。

参考図書:イラスト&図解でわかるDX(デジタルトランスフォーメーション

建築業界でBIM(Building information modeling)というキーワードの下に、デジタルトランスフォーメーションが浸透しつつあります。2025年まであまり時間がないように感じますが今からでも間に合うと考えています。

この記事では、あなたの会社に適したBIMソフトウェアを見つけられるように主要ソフト(目次参照)について解説します。

お急ぎの方もいるかもしれませんので早速結論ですが、長期的に見てBIMをやるのであれば【最もBIMの概念を反映させたAutodesk Revit 一択】ではないかと考えています。

主要BIMソフトと特徴
  • Autodesk Revit
    • もっともBIMらしいBIMソフト、意匠もエンジニアも使える総合的なBIMソフト
  • ArchiCAD
    • Rhino, Grasshopperと相性良し、エンジニアよりも意匠向けにシェア獲得中、直感的で導入しやすい
  • Gloobe
    • 国産BIMソフト、国内建築業界に特化する流れ
  • Vectorworks Architect
    • Vectorを使用している方向き、OpenBIMの概念で海外事例が増えてきている
  • Tekla Structures
    • 構造向き、鉄骨が得意
Panna
Panna

この記事を書いた人

  • 日本国内で5年ほどBIM関連の経験を持つ
  • データ連携によるワークフロー自動化が得意
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BIMを始めるために知っておきたい主要ソフト比較

建築業界でデジタルトランスフォーメーションを進めるには「デジタル技術で既存のワークフローを変える」必要があります。

ワークフロー全体の見直しによって、現在行われている業務の効率を改善する(コストを下げる)だけでなく、業界の垣根をこえて連携させることで新たなビジネスモデルを作り出す可能性さえ生み出します。

デジタルトランスフォーメーションの一つであるBIMを推進するための主要なBIMソフトを紹介します。

国内で使われている主要BIMソフトの解説

国内でよく耳にするBIMソフトについて解説を行います。

Autodesk Revitの特徴

最もBIMの概念を取り入れたソフトウェアです。Revitには建築物を情報化して管理するためのデータ構造が整っています。

建物を構成する一つ一つのパーツのテンプレートをルールに合わせて整備することができます。一度整備されてしまえば、作業者によるモデルの仕様のばらつきを抑えられます。データの質を均一に保ち、標準化を達成できます。

Dynamoという無料のアドインによってデータをグラフィカルに扱う事ができるため、設計で作成する情報を施工やその先の運用まで活かすことが可能です。情報管理が得意なため、作業の自動化も達成できます。また、APIも公開されており、無い機能は作れます。

標準化されて仕様にばらつきのない情報はBIMの本質である情報管理・活用にとって非常に重要です。情報の管理・活用を考慮した仕組みがRevitには備わっています。

  • 建築物を情報化して管理するためのデータ構造が整っている
  • テンプレートを作成することで均一にモデル仕様を維持できる
  • ワークフローが標準化されるため自動化を進めやすい
  • 導入コストは高いが成果は指数関数的に伸びる(DX移行の特徴)

参考図書:イラスト&図解でわかるDX(デジタルトランスフォーメーション)

ArchiCADの特徴

画像出典:GRAPHISOFT

直感的に操作できるために導入コストが低く、意匠設計者を中心にシェアを伸ばしているソフトウェアです。

また、3DモデリングソフトのRhinoceros(Grasshopper)と連携するツールが開発されたことで、パラメトリックに作られた要素をArchiCAD内にリアルタイムに持ち出せるようになりました。複雑な形状も簡単に作成でき、レイヤによって管理できる点に強みがあります。

GDLオブジェクトという建築物の部材をパラメトリックに管理できる機能も備わっています。

BIMcloudという機能を使用することで一つのファイルを使って複数人で作業することが可能となっています。BIMxを使用することで手軽にVR環境を構築できるため、ビジュアライゼーションも強化されているソフトウェアです。

  • 複雑なモデリングを直感的に作成できる
  • レイヤによって自由度の高いモデル管理が可能
  • クラウドベースで場所を選ばずチームで作業可能(BIMcloud)
  • 2Dや3Dモデルへ簡単にアクセスで手軽にVR環境も構築可能(BIMx)

Gloobeの特徴

国産BIMソフトウェアで申請機関で使われているツールとの連携を進めています。

最新バージョンでは、確認申請用の情報入力機能や躯体図の自動出力が強化されたようなので、国内で指定の申請機関を利用する場合に強みがあり、設計から施工までのデータ連携を強化しているようです。

また、クラウド対応チームシステムで複数人同時作業環境も整っています。

  • 国内で使用されているソフトや確認申請機関との連携を強化している
  • 同社のソフトに施工向けのソフトもあり設計施工でデータの一貫性を強化している
  • クラウド環境でのチーム作業も可能
  • 国産ソフトウェア

Vectorworks Architect

2d CADで大きなシェアのあるVectorworksも新しいバージョンでBIMに対応しています。

建築設計からインテリアまで対応できる3次元CADソフトの延長線にあるソフトウェアです。 Open BIMの概念のもとに対応する中間ファイルの種類が豊富で、使用事例が増えています。Revitとの連携事例も見られます。

Grashopperのようにグラフィカルにモデリングを行うマリオネットという機能もついているので、自動化やパラメトリックにデータ作成を行う環境も整っています。

  • 既にVectorworksを使用している場合はBIM移行を始めやすい
  • グラフィカルプログラミングツール内臓で効率的に作業できる(マリオネット)

Tekla Structures

建築構造向けのBIMソフトです。国内では鉄骨ファブリケーターでの使用事例が豊富です。

LOD(モデルの詳細度のレベル)500まで対応可能と公式でうたうほどに詳細なモデリングを得意とします。詳細度は設計が決まりきった後でないと変更コストが膨大になるので、鉄骨ファブでシェアが伸びている理由の一つかもしれません。

接合部の検討を含めた鉄骨の詳細設計までモデリングして調整するLODの高い事例が増えてきています。詳細モデルで可視化することでイメージ共有でき、複雑な形状の検討に強いソフトウェアです。

  • 建築構造向け
  • 鉄骨造でLODの高いプロジェクト推進に特に強い(鉄骨造以外の部材も作成可能)

その他のBIMソフトウェア

国内でのシェアは大きくないですがこれまでにお話ししましたソフト以外にも下記のソフトが挙げられます。本記事の目的はBIM移行のための主要ソフトウェアの比較なので内容は割愛します。

  • BricsCAD BIM
  • AECOsim
  • Allplan
  • Catia
  • Solidworks
  • Design for fabrication

RhinocerosやSketchupは現状3次元モデリングソフトなのでBIMソフトからは外しています。

BIMソフトウェア比較のまとめと比較表

価格は大事なので表にまとめます。

ソフト名永久ライセンス価格(税別) 期間ライセンス(税別)備考
Autodesk Revitシングルユーザー 1年間:370,000円
シングルユーザー 3年間:999,000円
シングルユーザー月額30,830円のプランもあり
希望製品の3年契約のサブスクリプションが1年契約の継続より最大約10%お得

ArchiCAD 通常版:840,000円
soloの場合:345,000円+α
soloの場合Solo VIPservice加入必須(初期費用18,000円、4か月目以降月額6,000円)
ARCHICAD 23 SoloからARCHICAD 23へのアップグレード:550,000円

soloはネットワークライセンス非対応
通常版でネットワークライセンスにしたい場合は2ライセンス以上購入が必要
GLOOBE650,000円 実施設計op:200,000円
法規チェックop: 300,000円
Vectorworks
Architect
1ライセンス:416,000円
Service Selectバンドル:458,000円
Service Selectバンドルの場合、
最新バージョン提供や様々なサポートを受けられる
Tekla
Structures
公式に表示がないため下記より
見積もり依頼ページ
同左

冒頭にもお話ししましたが、使用経験からもオススメできるのはAutodesk Revitです。BIMの概念で最も重要の建築の情報化を一番に反映しています。初期コストこそ高いものの、DXの特徴である指数関数的な成果を期待できる世界中の建築関係者が使用しているソフトウェアです。

導入コスト的には意匠設計者であればArchiCADも使用しやすいソフトウェアです。

BIM移行で変化するワークフロー

建築業界の大きなDXの一つであるBIMの概念を取り入れるワークフローは、従来の2D CADを使用するワークフローと比較されますが、全く別のワークフローです。単に、2次元を3次元に置き換えるものではありません。

BIMワークフローでは、建築物を情報として扱います。

従来の2d CAD中心のワークフローでは、建築物は2次元の線の集合でした。しかし、BIMワークフローでは、壁の仕様や位置情報などの建築の情報か施工現場の勤務状況やコストまで、建築物に関するあらゆるものをデータ化として取り扱います。

2D CADのワークフローとBIMワークフローの違いをもう少し具体的に整理してみます。例えば変更時には次のような違いがあります。

ワークフロー変更時の対応変更箇所自動化整合性
2d CAD中心
ワークフロー
変更のある箇所の線を変更する変更のある
すべての線
手動ファイル間で
(例えば平面と断面)
整合性確認必要
BIM
ワークフロー
モデル内の情報を変更する情報の書き換え
モデルの修正
自動化
できる
同じファイル内であれば
基本的には

整合性確認は不要

ワークフローの違いについてはある程度イメージできたと思います。次に、ワークフロー移行の段階で知っておきたい「BIM移行後の変化」をざっくりまとめます。

  1. 情報化されているため、他のソフトウェアで図面化以外に使用できる。
  2. 建築物の情報化により作業自動化が進み、業務効率改善につながる。*1
  3. データ管理を健全に行えば不整合は起きない。*2
  4. 複数人で同時に同一ファイルで作業できる

Point1が特に重要で、「建築物を情報化して管理・活用する」ことがBIMの本質です。

たとえ3次元的に生産活動が行われていても、活用できる形で情報が管理されていなければ、用途の乏しい単なる3次元モデルに留まります。それならば2d CADのほうがコストは低いのではないでしょうか。

一方で2025年の崖を乗り越えるためには移行は必要なことなので、自身の環境に合わせてデジタル技術を取り入れましょう。

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