コンピュテーショナルデザインによって今までにない建物が目に入るようになって数年が経ちます。設計を助けるデジタルツールを紹介します。この記事を読むことで、デジタルツールは何を習得すべきか、その有用性はどのようなものか、続けられる習得術を紹介します。
デジタルツールの有用性はこちらにもまとめています。
建築の設計をデジタル化するツールの紹介
コンピュテーショナルデザインと同じように重要度が認識され始めているのがBIMです。BIMとはBuilding Information Model(Modeling)の略で、建築物をデータ化して扱うプロセスを指します。
ここからは、BIMやコンピュテーショナルデザインに不可欠なツールとその習得術を紹介します。
BIMソフトのRevit+Dynamoの特徴
BIMプロジェクトで使われているソフトウェアで世界No.1のシェアをもつのがAutodesk社のRevitです。RevitはBIMの概念をもとに開発されており、効率的に建築物を情報の集合体として扱うことができます。
Dynamoというアドインを使用することで情報の利活用は更に進みます。Revitの中でモデル化した情報の追加・変更・抽出などの操作を自動化でき、2Dや手作業では数日かかるような作業を数分で完了することも可能です。
フロントローディングによって設計の効率や精度を高めるために今確実に必要なデジタルツールと言えます。今後ではなく現在進行形で必要なツールです。
建築デジタルに必須のRhino+Grasshopperの特徴
建築業界でコンピュテーショナルデザインと言えばこのソフトです。Rhino自体は3D作成ソフトなのですが、プラグインのGrasshopperと合わせて使うことで力を発揮します。
GrasshopperとはRhinoで出来ることを自動化するとともに、入力データを入れ替えられるように設定できます。
この数値制御のスタディをパラメトリックスタディとかコンピュテーショナルデザインと呼びます。日本の有名設計事務所も使用していますし、新国立競技場設計案で日本でも知られるようになったZHA(ザハ・ハディド・アーキテクツ)も様々なプロジェクトで使用しています。
限られた時間内に出来るスタディの数を増やし、形状の可能性を圧倒的に広げているのがこのデジタルツールです。
建築業界でも便利なプログラミングスキル(Python, C#)
最後にプログラミングについてです。まずはデジタルツールを習得することが大事ですが、習得後は必ず手を出してほしい分野です。
特に、近年AI関係のライブラリ(機能をまとめたもの)がどんどん開発されているPythonは非常に習得しやすく、伸びている言語です。DynamoでもGrasshopperでも使えますし、自動化や機能の拡張を簡単に行うことができます。
C#は「Revitのアドイン」「Dynamoのノード」「Grasshopperのコンポーネント」を自作できます。つまり、C#習得後は今までにない様な機能を自分で作成できるということです。
私はプログラミングを覚えてから興味関心の幅が広がりました。
作業の自動化による効率化への影響を強く実感でき、建築のデザインの質を高める作業や他の新しい知識を学ぶ時間を捻出できるようになりました。
どのようにデジタルスキルを学んでいくのか
私のオススメ習得方法は以下のとおりです。
実務で行っている作業をデジタルツールでの作業に置き換えてみる。
学んだことを実務に活かせない人の特徴は習得の目的と習得する内容がずれていることが大きいです。
実際、やりたいことばかり追い求めていると「これ何に使えるんだろう」という状況に陥ります。やりたいことはもちろんやっていいのですが、今実務でやっている作業をデジタルツールでの作業に置き換えることで、効率的にスキルを習得できます。
「デジタルツールを使って何をするか決まっていないけどとりあえず学ぼう」よりも、「デジタルツールを使って柱割りのスタディをしよう」というような具体的な目標のほうが圧倒的に成果を感じやすいのは想像に難くないと思います。
まとめ
- BIMをやるならRevit+Dynamo
- パラメトリックスタディならRhino+Grasshopper
- 独自に今までにない機能を作るためにPythonやC#などのプログラミング言語
- まずは実務でやっていることをデジタルツールでの作業に置き換える
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